楽天トラベルEXPOにて「龍馬伝」の脚本家福田靖さんの講演(後編)

お勉強

おはようございます!民宿美味し宿かどやのGakuです。昨日の続き、脚本家の福田靖さんの講演を聞いての備忘録です。どのように「龍馬伝」をエンターテーメント性豊かに面白くしていったか。今日はその点について書きます。

福田靖さんの講演宿仲間のお友達が撮影した写真。
一番右、私の後ろ姿が写っていましたf^^;

「エンターテーメント」とはお客様の期待には応えるが、 そこに行き着くまでの予想は裏切ること。

非常にシビれる一言でした。今回、「竜馬がゆく」で定説となっていたエピソードと異なることが多く、批判されたことも多かったそうです。それでも喜んでいただけるポイントを5つ紹介していただきました。

(1)わかりやすい

例えば、幕末の歴史ものですと必ず出てくる言葉に「攘夷」という言葉があります。これ、歴史に詳しくない方がテレビで「じょうい」と叫んでいるところを見ても、なんのことかよくわかりません。「龍馬伝」では、武市半平太が筆で半紙に「攘夷」と書いて周囲にいた者たち(土佐勤王党の党員たち)に「外国人を追い払うこと」と説明しました。更には次の放送で下級党員(「龍馬伝」の場合は岡田以蔵)が「お前攘夷って知っているか?」と聞かれ、「知ってるさ!外国人を打ち払うことだろ」と答えるシーンを入れて、再度わかりやすく伝える工夫がされています。

(2)テンポが良い

先ほどの「攘夷」をわかりやすく、という点ですが、例えばテロップで解説文を出すというのはテンポを崩してしまう行為だそうです。あくまでもシーンの中で自然に視聴者が理解していくような流れにすることが重要。さりげないシーンやセリフの中に大量の情報が伏線として収めること。ムダなものを作らない構成が良いテンポを生み出します。

(3)笑いをいれる

多くの方が持っている「大河ドラマ=難しい」というイメージ。特に幕末ものは戦国時代よりも複雑でわかりにくく、視聴率も稼げません。いかに笑いを仕込んでおくかが重要になります。見る人の敷居を下げるには「笑い」をとるのが良いそうです。

(4)一方だけをかっこよくしてはいけない

どちら側も正義であり、正論と正論のぶつかり合いだから緊張感が生まれる。例えば、倒幕派(尊王攘夷)の意見を聞いてもっとも、と思った後でも正反対である佐幕派の意見も聞いてみると納得、ということです。

今、大河ドラマは「花燃ゆ」ですが、こちらを見ていて思ったことがあります。例えば、長州藩が攘夷を決行します。下関を通過する外国船に発砲するんです。これって正しいことでしょうか?今の歴史認識で見れば、結果それが明治維新につながり、正当化されることかもしれません。でも、当時の常識で考えると(あるいは、今の常識で考えても)常軌を逸した行為と言えます。「正しいことをしたから正しい結果を生んだ」のではなく、「行動したから新たな展開が生まれた」ってことなんだなぁ?って私は解釈しています。

大河ドラマ花燃ゆ視聴率、苦戦していますが私は毎週見ています♪

のちに政権を取っても、その時点では反体制派。お互いが自分の中の正義で戦っています。一方的に正義の味方と悪人の二元論で解釈させないところに深みと面白さが出てくるんですね。

(5)新解釈を入れる

元々「岩崎弥太郎」にクローズアップしたのは、坂本龍馬が日本初の株式会社を海運業で起こしたこと。坂本龍馬と入れ替わるように明治時代に頭角を現した岩崎弥太郎が同じ海運業の郵船汽船三菱を起こしたこと。この偶然のつながりをエピソード化しようとしたものです。史実をどのように解釈し、印象的なエピソードを作り上げるか。そういった作り込みの元に脚本が生まれ、現場のスタッフや俳優さんたちによって息が吹き込まれて大河ドラマという一つの作品ができます。ユニークなフィクションのヒントとなるエピソードを見つけて、そこから具体的な脚本を作り上げていくのです。

エンターテーメントの創造プロセス。どのように作られるのかを知ることは、自分が様々なプランやイベントを検討する際に役立つことになりそうだと感じました。

以上、5つのことを意識してエンターテーメント性を出していったということでした。最後に井上ひさしさんの「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」という言葉を紹介されました。私の仕事である旅館業も同じサービス業であり、エンターテーメント性が必要な業界です。「わかりやすく」「テンポよく」「笑顔あふれ」「どちらからもハッピーで」「新たな発見のある」旅がお客様に提供できるよう頑張ろうと思うことのできた講演会でした。特に私の場合、食材や地域のこだわりを深すぎるくらい当ブログで書いていってしまいますので、「わかりやすく」というのは一番注意したいところです。こちらのブログも「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく」で書いていくよう心がけます(汗)。

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TODAY’S PHOTO
7月最初の週末の佐津海水浴場
荒れ気味の佐津ビーチ7月ですが海はあいにくの荒れ模様です

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香住/佐津/柴山 民宿美味し宿かどや
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