かどやがミズガニ(若松葉)を仕入れない理由

グルメ食材

今日のブログは炎上しちゃうかも。地元に敵をつくちゃうかも・・・

あ、もうそれ覚悟で書きますね。


解禁したばかりのミズガニのお話です
おはようございます!民宿美味し宿かどやのガクです。

先日、セコガニ漁終了と入れ替わりでミズガニ漁が始まりました。

ミズガニとは?

「脱皮直後のオスの松葉ガニ」のこと。身入りがあまり良くないのと、甲羅の中のみそも少なくてあまり美味しくないので通常の松葉ガニに比べて安価。甲羅が柔らかいので触るとすぐに分かります。身入りが悪く水っぽいのでミズガニ、と言っても良いと思います。


いけす内の見ためは松葉ガニと遜色ありません

かどやはミズガニを仕入れていません

ミズガニはカニ刺し用に良い、とよく言われますが、かどやではミズガニを購入していません。かどやの人気料理、甲羅みその炭火焼用の甲羅を確保するために毎日活松葉ガニを確保しているためです。

 


味はもちろんのこと、みその入り、色、
ミズガニとはまったく異なります

この美味しいみそを確保するため、かどやではミズガニは仕入れていないのです。

ミズガニにおける一番の問題

このことをこの場で述べるのは少し勇気がいります。

ミズガニの使わない理由のもう一つに、果たしてミズガニを漁獲して良いモノなのかどうかということがあります。


数年すれば高価な松葉ガニになります

それを成長途中で乱獲し、資源枯渇につながらないか、心配なのです。

事実、ミズガニは自主規制している県もあるのですが、以下のような意見も出ています。

[ミズガニ(脱皮後のカニ)まで獲ってしまう 日本の漁業の制度問題]

京都府がミズガニの水揚げ禁止措置の導入を要望しています。

ズワイガニの脱皮したては、殻がしっかりしておらず価値が低くなります。兵庫県のカニの価格を例に挙げると、昨シーズンのオスのズワイガニ(固ガニ)がキロ6.407円、メスが2,612円、ミズガニが1,244円です。脱皮した後に殻が固くなって実が詰まれば、価格が5倍になっています。

また、皆さんが食べているアラスカのズワイガニはメスのカニは漁獲禁止です。シーズンを考え、ミズガニはもちろん狙いません。アラスカやカナダといった国々では、ズワイガニも個別割当制度なので、価値が低いミズガニはとりません。当たり前ですね。日本は、制度がしっかりしていない問題で海外で禁止されている、小さな魚やカニをとっていることがよくあります(サバ、クロマグロ等)。

法的に問題がなくても道義的な問題はどうでしょうか?

京都府がズワイガニの資源管理についての要望書を添付しますが、グラフを見れば一目瞭然、日本海西部海域の資源は、主にミズガニとメスなのです。ミズガニの漁獲を禁止すれば、固ガニが増えて、少ない量でも単価の高いカニの水揚げが増加、結果として将来的に水揚げ金額は増えて行くことなります。

カニがいなくなれば、ミズガニもメスのカニも買えないので、文化もなくなります。漁業先進国ではとっていないので、輸入できるのは、まともな固ガニだけです。

京都府ではH20年からミズガニの漁獲を自粛しています。しかし、京都府が自粛しても他県はミズガニを獲ってしまう。正直者はバカを見る。しかもH20年にズワイガニとアカガレイで日本初のMSC認証を取ったのに、ズワイガニは5年目の更新で再認証されず。

自主管理が破たんしている典型的な例です。これは、国がしっかりと個別割当制度を設定し、かつミズガニを漁獲禁止、ミズガニを避けるための漁期を設定すべきなのです。

正直言います。私も上記の意見に賛成です。ミズガニの漁獲は規制、いえ、禁止すべきと考えています。自分が使ってないから、という理由だけではありません。松葉ガニの漁獲高は、10年20年のスパンで見ると明らかに減少しているのです。

カニ自体もここ2年、年40%ずつ価格上昇しています。いよいよ以下のようなニュースも出だしてしまいました。

マツバガニ過去10年間で最高値 16年12月(神戸新聞)

北陸ではいよいよ以下のような記事も・・・

ズワイガニ価格高騰にため息 民宿経営者「手が出ない」(毎日新聞)

実際、この価格上昇は止まる見込みもなく、このままですと来年も宿泊料金を値上げせざる得ない状況です。

未来に資源を残すために。今やらなければならないことはあろうかと思います。正直、2、3年だけでも良いので、セコガニも禁漁を検討しないといけないのでは、と感じています。(セコガニが禁漁されると本当はかどやも困ります!)

地元の方も見ておられるブログですので、こういった意見を書くのは批判も受けるでしょうが、5年後、10年後も松葉ガニ漁を中心として全ての産業が潤う状況を維持するためには英断も必要ではないかと思っています。未来に後悔しないために・・・。

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